ラベル インターネット の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル インターネット の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020-12-22

プロパガンダ装置として作動するフェイスブック/『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー


・『トゥルーマン・ショー』ピーター・ウィアー監督
『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー
『一九八四年』ジョージ・オーウェル
『服従の心理』スタンレー・ミルグラム
『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー
『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』ルディー和子
SNSと心理戦争 今さら聞けない“世論操作”

 ・プロパガンダ装置として作動するフェイスブック

『アメリカ民主党の崩壊2001-2020』渡辺惣樹
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー
『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ
『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』矢野和男
『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴
『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』キャシー・オニール
『快感回路 なぜ気持ちいいのかなぜやめられないのか』デイヴィッド・J・リンデン
『もっと! 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』ダニエル・Z・リーバーマン、マイケル・E・ロング
『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル

必読書リスト その五

  「デジタルコモンズ」一大拠点で進む社会の分断

 数億人ものアメリカ人がフェイスブックユーザーになっている。写真をシェアしたり、セレブをフォローしたりできる「楽しくて無害な場所」と思って。友人とつながり、ゲームやアプリで退屈しのぎをするのに「便利な場所」と思って。フェイスブックからは、「ここは人と人とをつなげてコミュニティーをつくる場所」との説明を受けている。実はここに落とし穴がある。同社が描くコミュニティーの世界では、同類が集まるコミュニティーが無数に誕生し、それぞれが隔離されているのだ。
 フェイスブックはユーザーを観察し、投稿を読み、友人との交流を調べる。そのうえでアルゴリズムを使ってユーザーをカテゴリー化し、デジタルコミュニティーをつくる。個々のデジタルコミュニティーを構成するのは、フェイスブックが「ルックアライク(類似した消費傾向や行動様式を持つユーザー)」と呼ぶ同類だ。もちろん目的はターゲティング広告。それぞれのカテゴリー用にカスタム仕様にしたナラティブを渡すわけだ。ユーザーの大半は自分が特定のカテゴリーに入れられているとは気付かないし、ほかのカテゴリーから切り離されているとも気付かない。当然のことながら、ルックアライクごとのカテゴリー化が進めば進むほど、社会がますます分断されていく。これがソーシャルメディアの実態だ。
 アメリカはソーシャルメディアを生誕地として、ニュースフィードやフォロワー、「いいね!」、者絵などで成り立つ「デジタルコモンズ(デジタル共有資源)」の一大拠点になった。気候変動は海岸線や森林、野生生物に少しずつゆっくりと影響を及ぼしており、全体像を把握するのは難しい。ソーシャルメディアも同じで、社会にどんな影響を及ぼしているのか、全体像は簡単には把握できない。
 それでも個別事例は確認できる。ソーシャルメディアが猛威を振るい、突如として国全体を揺るがすこともあるのだ。2010年代半ばのこと。フェイスブックはミャンマーに参入して急成長し、人口5300万人の同国であっという間に2000万人のユーザーを得た。同社のアプリはミャンマーで売られるスマホの多くにプリインストールされ、国民にとって主要なニュースソースになった。
 17年8月、フェイスブック上でヘイトスピーチが拡散した。イスラム系少数民族ロヒンギャを標的にし、「イスラム教徒のいないミャンマー」といったナラティブが流れたり、地域一帯の民族浄化を求める声が広がったりしていた。このようなプロパガンダを用意して拡散させたのは、情報戦を展開する軍部だった。ロヒンギャの戦闘員が警察施設を襲撃すると、ミャンマー軍はオンライン上での支持拡大をテコにして大規模な報復に出た。何万人にも上るロヒンギャ族を殺害したり、れいぷしたり、重傷を負わせたりしたのである。軍部以外も虐殺に加担し、フェイスブック上ではロヒンギャ攻撃を求める動きが強まる一方だった。ロヒンギャの村落が焼き払われ、70万人以上のロヒンギャ難民が国教を越えてバングラデシュに流れ込んだ。
 そんななか、フェイスブックはミャンマー内外の団体から繰り返し非難された。結局、やむにやまれず行動を起こした。自社プラットフォーム上からロヒンギャの反政府勢力を排除したのだ。ミャンマー軍と親政府勢力はそのままにして。当然ながらロヒンギャに対するヘイトスピーチはその後も拡散し続けた。国連はミャンマーの状況について「教科書に出てくるような民族浄化の典型例」と糾弾していたのに、フェイスブックの耳には届かなかったようだ。
 18年3月、国連はついに「ロヒンギャの民族浄化でフェイスブックは決定的役割を果たした」と結論した。フェイスブックはフリクションレス(ストレスがなくスピーディーという意味)な設計思想に基づいているから、ヘイトスピーチを信じられないようなスピードで拡散させ、暴力を助長する格好になった。これに対するフェイスブックの反応はよそよそしく、まさにオーウェリアン(全体主義的な監視社会)的だった。4万人の民族浄化に加担したと指摘されたのに、「われわれはヘイトスピーチや暴力的コンテンツの排除に全力で取り組んでいます。プラットフォーム上にはヘイトも暴力も入り込む余地はありません」との声明を出したのだ。これを読んで世界各地の独裁者はどう思っただろうか。独裁体制を維持するうえでフェイスブックほど頼りになる民間企業はない、と結論したのではないだろうか。
 インターネットの誕生によって素晴らしい世界が到来する――。最初はインターネットに対する期待は大きかった。人と人を隔てるバリアが取り払われ、突如として誰もが世界中の誰とでも話ができるようになるのだから。
 実際には違う世界が現れ、現実社会の問題を増幅させている。人々はソーシャルメディア上で何時間も過ごし、似たような思考や趣味を持つユーザーをフォローする。そのうち地区別にキュレーションされたニュース記事を読むようになる。キュレーションを行っているのはフェイスブックのアルゴリズムであり、アルゴリズムの唯一の“道徳規範”はクリックスルー率(インターネット広告の効果を測る指標)だ。
 これは何を意味しているのか。キュレーションされたニュース記事は一元的な価値観を前面に出し、ユーザーをクリック中毒のような極端な行動に走らせる。結果として起きるのが「認知セグリゲーション (隔離)」だ。ユーザーはそれぞれの「情報ゲットー」へ隔離され、その延長線上で現実社会の分断を引き起こす。フェイスブックが言う「コミュニティー」は、実は「ゲーテッドコミュニティー」なのだ。

【『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー:牧野洋〈まきの・よう〉(新潮社、2020年)】

 鈴木傾城〈すずき・けいせい〉のブログで「フェイスブックを使うと個人情報がバレバレになる」との記述を読み、私は直ちに撤収した。半年ほどしか使っていなかったこともあり特に不便は感じなかった。少し経ってGoogle+のサービスが終了した。SNS覇権を制したのはフェイスブック、ツイッター、インスタグラムで、フリッカーやタンブラーは出遅れた感がある。

 本書はロシアゲート問題の重要な証言である。クリストファー・ワイリーはカナダ生まれで、10代から選挙運動に関わってきたコンピュータプログラマーだった。マイクロターゲティングという手法を編み出し、アルゴリズムで「特定のグループに分類された人々の行動や興味・関心、意見等をデータ解析によって予見し、そこから彼らにとって最も効果的な反応を引き出すメッセージが発信される」(Wikipedia)。

 彼に目をつけたのがイギリスのケンブリッジ・アナティリカ社(以下CA社)でワイリーを引き抜き、ケニア大統領選挙でケニヤッタ陣営の選挙運動全般を請け負い、ハニートラップをも駆使して勝利に導いた。ナイジェリアの大統領選挙にも介入し実績を積み重ねた。

 15年発表の研究論文──執筆者はヨウヨウ、コシンスキー、スティルウェルの3人──によれば、人間行動の予測という点では、フェイスブックの「いいね!」を利用するコンピューターモデルは圧倒的なパフォーマンスをたたき出す。
 Aの行動を予測するとしよう。「いいね!」10個で、Aの職場の同僚よりも正確に予測できる。150個で、Aの家族よりも正確に予測できる。300個で、Aの配偶者よりも正確に予測できる。なぜこうなるのか? 友人や同僚、配偶者、両親はAの人生の一面しか見ていないからだ。

トランプ当選のためSNSから8700万人分の個人情報を抜き取った男の手口 巧妙な「性格診断アプリ」というワナ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 ワイリーはフェイスブック経由で「マイパーソナリティー」という性格診断アプリをダウンロードさせることで個人情報を掌握し、更には友人関係の情報まで芋づる式に掻き集めた。アメリカから風采の上がらない中年男性がやってきた。スティーブ・バノンである。バノンはCA社にロバート・マーサーと娘のレベッカを紹介した。アメリカ保守系の超タカ派で共和党の有力スポンサーだ。CA社はマイクロターゲティングを用いてトランプ陣営のバックアップに取り組む。ワイリーは知らなかったがCA社はロシアとも深い関係を結んでいた。

 フェイスブック社のデータ管理は元々杜撰な上、データ研究を推奨していた。フェイスブックはプログラマーからすれば十分過ぎる情報の宝庫であった。

 これを「心理戦版大量破壊兵器」と呼ぶのが適当かどうかは微妙だ。なぜなら「緻密なマーケティング」とも言い得るからだ。つまりマインド・ハッキング(原題は「Mindf*ck」)か誘導かがはっきりしないのだ。これをマインドハックとしてしまえば全ての宣伝広告はマインドハックになってしまう。

 文章が巧みでIQの高さが窺えるが、如何せん初めにトランプ批判ありきで妙な政治色を帯びている。トランプ批判が具体的であるのに対して、オバマを一方的に持ち上げるのは彼がゲイであるため民主党に肩入れしているようにしか見えない。

 オバマ政権に関しては北野幸伯〈きたの・よしのり〉が前半は駄目だったが、後半は米国にとってよい政権だったと指摘している。

 尚、訳者の牧野洋は武田邦彦を個人攻撃したファクトチェック・イニシアティブのアドバイザーを務めていることを付記しておく。



CNN.co.jp : トランプ大統領、駆け込みで恩赦と減刑 ロシア疑惑で有罪の2人も
行動嗜癖を誘発するSNS/『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』アダム・オルター

2020-12-15

エートスの語源/『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』ルディー和子


『売り方は類人猿が知っている』ルディー和子

 ・累進課税の起源は古代ギリシアに
 ・エートスの語源

SNSと心理戦争 今さら聞けない“世論操作”
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー

必読書 その三

 プラトンの時代には読み書き能力が急激に発達した結果、抽象化する能力が格段に高くなりました。具体的な意味を持った言葉が、抽象的概念を表現する言葉に変化していきました。たとえば、「エートス(ethos)」というギリシア語は、もともとは動物の「ねぐら」とか「生息地」を意味していたのですが、その後、「人の住処での暮らし方」から個人の習慣行動といった意味で用いられるようになり、アリストテレスのころには「性格(人柄)」という意味で使われるようになっています。アリストテレスは著書『弁論術』で、他人を説得するためには、倫理的にも尊敬できる信頼できるエートスが必要だと書いています。

【『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』ルディー和子(日経プレミアシリーズ、2013年)】

 エートスを私はずっと「気風」と読んできた。折角の機会なので定義を再確認しておこう。

《「エトス」とも》
1 アリストテレス倫理学で、人間が行為の反復によって獲得する持続的な性格・習性。⇔パトス。
2 一般に、ある社会集団・民族を支配する倫理的な心的態度。

エートスの意味 - goo国語辞書

 エートスは、「いつもの場所」を意味し、転じて習慣・特性などを意味する古代ギリシア語である。他に、「出発点・出現」または「特徴」を意味する。

エートス - Wikipedia

 大塚久雄(1989)はこの2つのうち「エートス(ethos)」について、次のように定義している。
「『エートス』は単なる規範としての倫理ではない。宗教倫理であれ、あるいは単なる世俗的な伝統主義の倫理であれ、そうした倫理綱領とか倫理徳目とかいう倫理規範ではなくて、そういうものが歴史の流れのなかでいつしか人間の血となり肉となってしまった。いわば社会の倫理的雰囲気とでもいうべきものなのです」。

PDF:職業エートスの形成に関する一考察 キリスト教精神との関係から 阿部正昭

 近代においては,1つの社会,民族の特色をなす性質,道徳をさす社会学的,人類学的用語としても用いられる。このような意味を明確化したのは M.ウェーバーである。(中略)その意味するところはまず,なんらかのあるべき姿をさし示す「倫理」 ethicsとは区別された,本人の自覚しない日常的生活態度であり,また「激情」 pathosとも対立的なものである。日常的生活行動や生活態度を最奥部で規定し,常に一定の方向に向わせる内面的原理を意味する。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

 エートスのラテン語訳 こそがモーレス——モスの複数形——でありモラルの語源なのである。これは、我々がもつ道徳的感情は、その共同体のモラルの遵守とそこからの逸脱から発生しているのだという説明の論理である(アリストテレス『ニコマコス倫理学』)。

エートス: ethos

 私が啓発されたのは小室直樹の解説で、彼は「行動様式」とした(『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』)。武士と武士道を思えば腑に落ちる。行動様式は努めているうちに自然な振る舞いとなり、やがては道と己が一体化して不可分となる。「簡単にいってしまえば、エシックス(倫理)は思考に訴え、エトスは情動を支配するのだ」と上記書評で書いた。思考は前頭葉で行われ、情動は大脳辺縁系が司る。我々がともすると理性よりも感情に振り回されるのは当然で、大脳辺縁系がより下層にあるためだ。その直線的な志向が既に否定されているポール・マクリーン「三位一体脳モデル」だが、生きるための爬虫類脳(脳幹、小脳)・感じるための哺乳類脳(大脳辺縁系、新皮質)・考えるための人間脳(前頭葉)との位置づけはあながち的外れではないだろう。

 エートスが行動様式であれば、倫理からエートスへの飛翔は前頭葉から大脳辺縁系への深化を示すものだ。前頭葉で考えれば切腹はできまい。意志よりも情動が重い。

 そう考えるとやはり若いうちに尊敬できる人物を知ることが重要だ。「このような人になりたい」「あのような生き方をしたい」との切望が人格の基底を成すからだ。

2020-12-07

累進課税の起源は古代ギリシアに/『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』ルディー和子


『売り方は類人猿が知っている』ルディー和子

 ・累進課税の起源は古代ギリシアに
 ・エートスの語源

SNSと心理戦争 今さら聞けない“世論操作”
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー

必読書 その三

 古代ギリシアでは、富裕層の市民がレイトゥルギアと呼ばれる民衆のためのイベントにおいて金を出す習慣がありました。アテナイでは、緊急の場合をのぞいて市民から税金を徴収することはありません。その代わりに金持ちがお祭りのための費用、お祭りのメインイベントである演劇や合唱舞曲を上演するための費用、体育行事のための費用などを負担するのです。
 これは、私有財産の一部を公共に(一般市民に)贈与することですが、途中からは、寄附とみなされたり、あるいは税金とみなされたりするようになります。
 小さな都市国家ですから、誰がいくらお金を出してくれたかは、ウワサですぐに広まります。人気のある悲劇や喜劇の上演にお金を出せば、お金持ちは名誉や評判を高めることができます。レイトゥルギアのなかには、アテナイの海軍の船の維持に必要な経費を出すことも含まれます。多額の経費を負担すれば、1年間海軍のキャプテンに就任するという名誉がついてきます。
 こういった人気のあるものなら贈与するが、あまり人気のないものだと誰もお金を出したがりません。仕方がないので、執政官が自発的に申し出なかった金持ちに割り当てます。こうなると、もはや寄附ではなく、税金の意味合いが強くなります。
 金持ちがより多くの公共コストを負担するという累進課税は、14世紀のイギリスで始まったと言われます。が、その考え方自体は、古代ギリシアにさかのぼることができるのです。

【『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』ルディー和子(日経プレミアシリーズ、2013年)】

 ジェームズ・C・スコット著『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』を読んで税金について眼が開いた。大村大次郎の著作もそれまでとはガラリと色彩が鮮やかになった。明き盲(めくら)とはよく言ったものである。

 渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉がかつて「所得税は1割の負担で国民全員が支払えば財政は賄(まかな)える」という大蔵官僚の発言を紹介していたのを思い出した。ところがどの本に書いてあったのかが思い出せない。渡部の著作はさほど読んでいないのだが画像データが多すぎるためだ。仕方がないので『歴史の鉄則 税金が国家の盛衰を決める』(1993年/改訂改題『税高くして民滅び、国亡ぶ』)と『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』(1999年)を読んだ。まだ残っていた鱗(うろこ)が目から落ちた。

 選挙権の歴史を振り返ると身分、宗教、性別、人種、納税などが挙げられよう。アメリカの独立はボストン茶会事件(1773年)に始まるが、この時の合言葉が「代表なくして課税なし」であった。渡部の著書に何度も出てくる言葉だが、説得力はあるものの日本国内においては外国人参政権との整合性がとれない。

「カネを出しているのだから口も出させろ」との主張には筋が通っている。しかしながら国家として考えた場合、いざ戦争となれば母国と日本のどちらにつくのかという問題が生じる。極端な例を想定すれば問題は単純化できる。中国が日本へ2億人の人々を送り込めばどうなるか? 実際に似たようなことが北海道で進行中だ。

 渡部は累進課税と相続税は自由主義に反すると主張する。財産権の侵害の他ならず、悪平等の考え方が社会主義的であるとまで説く。株式会社や二世議員は相続税を回避するシステムとして使われている。納税や節税にかかる労力が社会にブレーキをかけているのも確かである。

 企業の規模を問わず、所得の高低を問わず、誰もが租税を回避するのは政治家と官僚が愚かであると判断しているためだ。そもそも税制そのものが不平等だし、税金を支払うに値する国家かどうかが疑問である。大村大次郎は「この国(日本)に税金を支払う価値はない」と言い切っている。

 マンモス教団では信者が嬉々として布施を行っている。仏教では喜捨と呼ぶ。理想的な徴税のあり方だと思う。決して皮肉ではなく。

2017-12-31

テクノロジーは人間性を加速する/『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー


『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク
『インフォメーション 情報技術の人類史』ジェイムズ・グリック
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

 ・テクノロジーは人間性を加速する

必読書リスト その五

 現在の生活の中のどんな目立った変化も、その中心には何らかのテクノロジーが絡んでいる。テクノロジーは人間性を加速する。テクノロジーによって、われわれが作るものはどれも、何かに〈なっていく〉(ビカミング)プロセスの途中にある。あらゆるものは何か他のものになることで、【可能性】から【現実】へと撹拌(かくはん)される。すべては流れだ。完成品というものはないし、完了することもない。決して終わることのないこの変化が、現代社会の中心軸なのだ。
 常に流れているということは、単に「物事が変化していく」以上の意味を持つ。つまり、流れの原動力であるプロセスの方が、そこから生み出される結果(プロタクト)より重要なのだ。過去200年で最大の発明は、個別のガジェットや道具でなく、科学的なプロセスそのものだ。ひとたび科学的な方法論が発明されれば、それなしでは不可能だった何千ものすばらしいものをすぐに創れるようになる。方法論として常に変化し進歩するというプロセスは、ある特定のプロダクトを作り出すより100万倍も優れ、おかげで何世紀にもわたって100万もの新しいプロダクトを生み出してくれた。現行のプロセスを正しく使えば、それは今後も利益を生み出していくだろう。われわれの新しい時代には、プロセスが製品(プロダクト)を凌駕するのだ。
 プロセスへと向かうこうした変化によって、われわれが作るすべてのものは、絶え間ない変化を運命づけられる。固定した名詞の世界から、流動的な動詞の世界に移動していく。

【『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー:服部桂〈はっとり・かつら〉訳(NHK出版、2016年)】

 飛行機に乗ったスー族は空港で魂が到着するのを待った(『裏切り』カーリン・アルヴテーゲン)。そしてエネルギーを使えばつかうほど時間が早く進む(『「長生き」が地球を滅ぼす 現代人の時間とエネルギー』本川達雄)。新たなテクノロジーがエネルギーを最大化する。ここにイノベーション(技術革新)の本質がある。

「まえがき」がまだるっこしくて読むのを躊躇(ちゅうちょ)したが、本文に入るやいなや独創性あふれる視点と文体に引きずり込まれた。「プロダクトよりもプロセスが重要だ」という指摘はツイッターを見れば明らかだ。新聞やブログなどの固定した記事よりも、返信・引用・リツイートという「流れ」に人々は注目する。かつての掲示板(BBS)は議論することが目的だった。ところがツイッターは基本的につぶやき(独語)である。情報の取捨選択は自分に委ねられている。膨大な数のツイートがあたかも脳内のシナプスのように発火し、つながり、回路を形成してゆく。いつの日か優れた知性と感情が世界を覆い尽くすようになれば、その流れは「神」と呼ばれてもおかしくはない(『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル)。

 ここでクリシュナムルティの『人はどのようにして変容し、「なる」(ビカミング)から「ある」(ビーイング)ことへのこの根源的変化を起こしたらいいのでしょう?』(『自由とは何か』J・クリシュナムルティ)との提起を引用するのは場違いだ。ケヴィン・ケリーが指摘する「ビカミング」は人類全体が種(しゅ)として変化する様相を指すのだ。

 ヒトは言葉を生み、文字を発明した。紙、印刷技術、通信、ラジオ、テレビ、そしてコンピュータ、インターネットに至るイノベーションは「人類が一つになる」方向を目指している。邪悪と凡庸は恐るべきスピードで淘汰(とうた)されてゆくことだろう。

 誰かに言われた一言や一冊の本が人生を変えることは決して珍しいことではない。新しい時代はそれが日常的かつ連続的に起こるのだ。融合することで個の影は薄くなる。これがネット時代の諸法無我だ。「私は変わった」ではなく、「変わり続ける流れが『私』」となる。

 つまり大脳新皮質の外側を覆うべく、インターネットを介して大脳超新皮質が誕生するのだ。

2013-08-30

無料WEBカレンダー

2012-05-30

facebookがユーザーの名前や写真を外部サイトへの広告などに利用する



 実際、フェイスブックはユーザーのデータを使って何かしているのか。もちろんだ。フェイスブックからログアウトしても、フェイスブックはユーザーの行動を追跡する機能を持っていたのである。

鈴木傾城〈すずき・けいせい〉

アナタは四六時中Facebookに追跡されている!? このリスクと対策について

2012-05-14

UQ WiMAXの破壊力


 友人から教えてもらったのだが、UQ WiMAXの破壊力が凄まじい。まず工事が不要である点が挙げられる。次にワイヤレスで煩わしい配線もない。それでいて下り最大40Mbpsの速度を誇る。我が家の光回線とほぼ同じスピードだ。

ワイヤレスで快適!

「UQ Flat 年間パスポート」であれば月額3880円で使い放題。そして最大の破壊力は「WiMAX機器追加オプション」だ。なんと月額200円で2台のルーターを追加することができる。

WiMAX機器追加オプション

 つまりサービスエリア内であれば、職場など自宅以外の場所でも使用可能なのだ。

◎サービスエリア

 更にスマートフォンとWiMAXを組み合わせることも可能で、「公衆無線LAN自動切り替え」機能が付いている機種もある。

 オススメのルーターは「URoad‐8000」で、「特別価格2800円」と表示されているが、「商品詳細/ご購入ボタン」を押すと、「UQ Flat 年間パスポート」の契約で「商品価格1円」となる。スマートフォンやノートパソコンを使う人であれば、1回線の契約であらゆる場面に対応できることだろう。

「UQWiMAXお友達紹介キャンペーン」商品券3000円分プレゼント!お申し込み有効期間:2012年8月3日~2012年9月2日

2011-12-04

Google Chrome フォントサイズの変更方法


 Google Chromeを使うようになってから最初に困ったのは、ブログ編集画面でフォントサイズが小さくなってしまったことだった。あちこち調べて何とか解決した。ただし、それでもCtrl++を多用してきた。再度、設定を変えたところ上手くいった。facebookのフォントも大きく表示できた。以下にその手順を示す。

 まず、Googleのトップページを開く。

Google

 次に検索窓内で右クリック。

f1

 スペルチェックのオプション→言語設定をクリック。

f2

 右上の×ボタンをクリック。左側の何もない部分をクリックでもオッケー。手前の画面を消す。

f3

 高度な設定→フォントをカスタマイズ。

f4

 ここで最小フォントサイズを変更する。私の場合は14に指定。中年オヤジに優しい設定だ。視力が衰えていない若者であれば13でも十分だろう。

2011-10-16

flickrから削除された画像もtumblrには保存されているって知ってた?


 いやあ、たまげた。よそ様のflickrからアップした画像の一枚が表示されていなかったので、ジャンプしてみるとアカウントを削除したようだった。仕方がないので私は画像のコードを削除した。ところが自分のtumblrを眺めていたところ、件(くだん)の写真が残っているではないか!

 flickrからtumblrへのアップロードはボタン一つで可能なわけだが、どういう仕組みになっているかは知らなかった。tumblrは画像URLの指定も可能なため、直リンクを貼っているのだろうとばかり思い込んでいた。ところが違ったようだ。真相についてはいまだ藪(やぶ)の中だ。

 私はブログで紹介したflickr画像については、速攻でtumblrにアップしていたので助かった。こうなりゃ、flickrのお気に入りに登録してある数百枚の画像もtumblrに上げた方がよさそうだ。

 霊験(れいげん)あらたかなtumblrであった。

2011-09-25

まだ中毒になっていない人のためのtumblr入門


 tumblr(タンブラー)の話をしよう。初秋の季節、日曜日の昼下がりにはtumblrの話題が相応(ふさわ)しい。

 ま、何をどう使おうと自由なわけだが、tumblrについては画像共有ミニブログと認識するのが正しい。ファン(フォロワー)の殆どが外国人のため、日本語の文章は理解されない。実態としては動画も共有(リブログ)されにくい。

 tumblrは静かに始めたい。そうでないとあっと言う間に中毒に陥る。「これなしではやっていけない身体」になってしまうのだ。

 まずtumblrに登録する。「tumblr」という表記も間違えると恥ずかしいので辞書登録しておく。次に以下のページで「テーマ」を決める。

tumblr Theme Garden

 ここで慌ててはいけない。コーヒーを飲むことをお勧めしよう。

 そして必ずflickr(フリッカー)に登録する。flickrにはtumblr共有ボタンがあるからだ。登録したばかりだと、「t」ボタンが表示されないことがあるようだが、以下のページを参考にされよ。

新機能のFlickr共有ボタンで写真単位の共有が楽になった
Flickr、真剣に「ソーシャル」との連携を狙う?! 「Share This」機能によりTwitterやFacebookでの簡単共有機能を実装
flickr BLOG(英語)

 自分で撮影した画像を広めたい人は、ある程度ファンの数が増えてから行うべきだろう。

 ここから白紙状態のtumblrをあなたの色で染めることとなる。コレクター、キュレーターとしての一歩を踏み出すのだ。鹿島茂の言葉を噛み締めておきたい。

『子供より古書が大事と思いたい』鹿島茂

 最初の画像は「ダッシュボード→Tumblrの人気ページを見る」から行えばよい。気に入った画像をクリックし、ページ上部の「リブログ」ボタンを押すだけだ。

 またURL指定もできるので、ウェブ上の画像であれば何でもポスト可能だ(画像URLを指定)。YouTubeなどの動画もURLだけでアップできる。

 フォローする人数はあまり増やさない方がいいと思う。twitterと一緒で収集がつかなくなるからだ。私は10人しかフォローしていない(ファンは99人)。

 フォローする人の探し方は、気に入った画像をアップした人のtumblrへジャンプ。「アーカイブ」を見る。アーカイブのリンクがない場合は、URLの末尾に「/archive」を付ければ閲覧できる。これも辞書登録しておこう。で、パッと見た瞬間の印象で決める。少々訓練が必要だが、慣れればどうってことはない。

 私の基本的な手法は、flickrでどんどんお気に入り(You→Your Favorites)を増やし、それをtumblrにポストするというものだ。重複することがないよう、ポストした画像はお気に入りから削除する。ここで求められるのは英語キーワードによる検索能力だ。

 色々調べてみると、「ポストする画像を探すのに苦労している」などという声が散見されるが、全く信じ難い話である。私は抑制するのに苦労しているのだ。tumblrの容量は1日あたり75枚までとなっている(容量オーバーした場合の規制解除は16:20)。

 比較的人気があると思われるテーマは、夕日、海、水、消失点、建築様式(アーキテクチャー)、モノクロ、美男美女といったところだ。私は貧困、差別、暴力などのリアリティに関心がある。

 更にtumblrを電子書籍のような体裁にするサービスもある。

puble

 画像の海で波乗りを楽しむのがtumblrライフといえる。

onologue
Bloggerへの画像アップはflickr経由がよさそう&tumblrとの連携について
tumblrに見る危険性
画像はflickrにアップするのが正しい

2011-09-09

画像はflickrにアップするのが正しい


「正しい」と書いたのはもちろんブラフだ。今日気がついたのだが、flickrでコードが発行されている画像は、はてなダイアリーにも貼り付け可能だ。

 ってことはだよ、はてなフォトライフにアップするより、flickrにアップしたくなる。

 なぜなら、flickrであればtumblrで紹介してもらえる可能性があるからだ(プライベート指定は除く)。あなたの撮影した写真が世界中で紹介されるかもしれない。

 で、ひょっとしたら、「年俸5万ドルで専属契約をしませんか?」というオファーがくることも十分考えられる。

 だから腕に自信のある人はどんどんflickrに画像をアップするのが正しい、と私は主張する。

まだ中毒になっていない人のためのtumblr入門

2011-08-28

ブログのデータに関する覚え書き


・日本のブログ総数は約1690万。
・記事総数は約13億5000万件。
・データ総量は42テラバイト。
・書籍に換算すると約2700万冊分に相当。

Gigazine 2008-07-03

世界中のブログで使われている言語は日本語が一番多い(2007-04-06)

・ブログ総数は約1690万。
・記事総数は13億5000万件。
・スパムブログは全体の12%。

INTERNET Watch 2008-07-03

総務省 情報通信政策研究所(IICP)|調査研究|研究成果~調査研究報告書

ホスティング型ブログ数(参考)

・はてな 93816
・FC2ブログ 37555
・アメブロ 25968
・Seesaaブログ 25475
・livedoor Blog 15102
・Blogger 11283
・JUGEM 8260
・ココログ 8215
・exciteブログ 8003
・gooブログ 7243
・So-net blog 6974
・Yahoo! ブログ 5964
・Tumblr 4786
・楽天ブログ 4756
・ヤプログ! 4273
・ドリコムブログ 495
・その他 161269(ホスティング型以外を含む)

TopHatenarに登録されているブログ数を参照した 2011-08-28】

2011-08-14

tumblrに見る危険性


 ヴェーサリーは楽しい。ウデーナ霊樹の地は楽しい。ゴータマカ霊樹の地は楽しい。七つのマンゴーの霊樹の地は楽しい。バフプッタの霊樹の地は楽しい。サーランダダ霊樹の地は楽しい。チャーパーラ霊樹の地は楽しい。

【『ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経』中村元〈なかむら・はじめ〉訳(岩波文庫、1980年)】

 そしてtumblrも楽しい。枕詞(まくらことば)としては、チト不謹慎であったか。

 tumblr三昧の日々を送り、目がチカチカと点滅するほどである。私は専ら画像保存として使っているのだが、写真の刺激にたじろいでいる。情報の圧縮度が桁外れで、静止した時間に想像力が釘づけとなる。

 私は今17人ほどフォローしている。殆ど外国人なんだが、びっくりするほど趣味の合う人がいて親近感が高まる。一つだけ心掛けていることがある。それは私の画像がリブログされた場合、必ず相手のアーカイブを見にゆくこと。もちろん、リブログ返しをしないこともある。少なからず似たような感性があると思って、一応敬意を払っているつもりだ。

 で、数日前のことだが、外国人男性のアーカイブを見たところ、マッチョな男の写真がズラリと並んでいた。「そのスジの方でしたか……」と思いながらも、一枚だけいいのがあったのでリブログを返した。

 1分後、私は凍りついた。「あの画像に何らかの意味やメッセージが込められていたらどうしよう」と。場合によっては「オー、日本人の彼はマイ・ボーイとなることを了承したですね」とか思われる可能性もある。「ユーも今日から黒薔薇団の一員だ」とかね。

tumblr_logo

 ここからが本題だ。tumblrのリブログ、twitterのリツイートという機能は、投票民主主義(=観客民主主義と言い換えてもよい)に酷似している。

 リブログが恐ろしいのは、画像・動画は元より、テキストもそのまんまコピーできることだ。そこには情報の吟味や咀嚼(そしゃく)といった行為が欠如している。

 例えば先ほど挙げた画像の問題を考えてみよう。サイン、シンボル、符牒(ふちょう)、暗号は敵味方を判別するものとして機能することが多い。一番簡単なのは言語である。日本語=日本人だし、方言があれば「おっ、同県人ですか」となる。流行の知識から年代もわかるし、趣味からは人となりが伝わってくるものだ。

 このような情報の圧縮度を限りなく高めてゆくと、最終的に辿り着くのは宗教か数学世界となる。E=mc²とか、マンダラとか、十字架とか、マントラとか、イコンに行き着くのだ。

 生命機能とは自己複製能力を意味する。つまりコピーだ。遺伝子を始め、文化・教育・道徳に至るまでその全てはコピーを目的としている。

 リブログやリツイートの問題は、情報のコピーだけがあって概念のコピーを欠いているところにある。しかも実際はコピーという作業があるだけであって、知識レベルですらコピーされていないことが多い。

 リブログやリツイートをするに至った理由や感覚が透明化されつつあることを私は恐れる。

 時代が閉塞情況に陥ると必ず人々は新しいリーダーを待望する。この心理は教祖に付き従う羊のような信徒と同じものだ。我々はハーメルンの笛吹き男についてゆく子供となりつつあるのかもしれない。

ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経 (岩波文庫)

まだ中毒になっていない人のためのtumblr入門
Bloggerへの画像アップはflickr経由がよさそう&tumblrとの連携について